新規事業を始める際、「情熱」は非常に重要な起点になります。しかし、現場ではこんな悩みが多く聞かれます。
- 熱意はあるが、進め方が分からない
- 気持ちばかり先走って、成果が伴わない
- 戦略を立てる前に行動して失敗する
- チームがバラバラで、情熱が共有されていない
こうした悩みの背景には、「情熱=行動力」と「戦略=計画性」の両輪がうまく噛み合っていない現状があります。
実際、米スタンフォード大学の研究によると、スタートアップの成功要因は「タイミング」「チーム」「情熱」などの“情緒的要素”と、「戦略」「市場分析」「仮説検証」などの“ロジック的要素”のバランスにあると結論づけています。
また、経済産業省が提供する「J-Startup」プログラムでも、情熱を持ちつつも“勝てる戦略”を描くことが重要とされています。
▶参考:経済産業省「J-Startup」
https://www.j-startup.go.jp/
■解決策
では、情熱を活かしながら新規事業を軌道に乗せるためには、どのような戦略が必要でしょうか?
鍵となるのは、「情熱」を起点に、「戦略」で実現可能性を高める」ステップ設計です。
① 熱意の言語化:「なぜこの事業か?」を明文化
自分たちの思いを、ビジョンステートメントやパーパスとして明文化し、チーム全員が共有することで、意思決定の軸をブレなく保ちます。
② 戦略設計:「誰に・何を・どう届けるか」を分解
情熱を持つ対象(社会課題・顧客)を明確にし、リーンキャンバスやペルソナなどの戦略フレームを用いて具体化します。
③ フィードバックループの設計:「検証と修正」の仕組み化
情熱だけでは“思い込みの暴走”になるリスクがあるため、検証サイクル(MVP→ユーザー検証→学び→改善)を取り入れ、戦略をブラッシュアップしていきます。
▶参考:Harvard Business Review「Build-Measure-Learn Loop」
https://hbr.org/2013/05/why-the-lean-start-up-changes-everything
■まとめ
新規事業において「情熱」は出発点となる大切な要素ですが、それだけでは事業は成長しません。実際の現場では、「熱意だけでは動けない」「思い込みが空回りする」といった悩みが多く聞かれます。
スタンフォード大学の研究では、「情熱」と「戦略」の両立がスタートアップの成功に不可欠であると指摘されており、経済産業省のJ-Startupでも、熱意と構想力の融合が求められています。
具体的には、以下の3つの実践ステップが有効です:
- 「なぜこの事業か?」を明文化し、情熱の共有軸を作る
- リーンキャンバスで戦略を設計し、仮説と対象を明確にする
- Build-Measure-Learnサイクルで検証と改善を繰り返す
情熱を持った起業家・担当者こそ、「戦略という設計図」を持つことで、その想いを現実の成果へとつなげることができます。